路面電車(LRT)を中心に、電車停留場等の付属施設、サイン、PR方法の計画、そして既設線に加え新設する路線の計画といったまちづくりを含めたトータルデザインのプロジェクト.
「透明な青空、緑豊かな都市札幌」「銀嶺の遠景、雪の輝きをもつ都市札幌」
これらの札幌のイメージから《スマート・グリーン》をデザインのテーマとした。
人に優しい緑のイメージと、それを際立たせる銀嶺のライトシルバーがカラーリングのベースとなり、同時に環境づくりのテーマとして広がることを目指した。
全体コンセプト
-つなぐ-
トラム軌道の施設、関連する街の施設を明確で判りやすく、札幌に相応しいさわやかなデザインでつなぐことで、沿線の環境と表情が一新することを目指す。
新型車両は札幌市のメッセージを運んで街区をつなぎ、停留場を始めとする路線の施設がトラム車両に視覚的にかつ機能的につながる時、市民の活動が線から面へと活発につながる機会が生まれる。
-ループ化・延伸を目指す-
ループ化・延伸によりトラムの生み出す都市活動の拡がりを確実なものとするために、トラムとバスとのリンクや、トラム停留場と都市施設とのつながりをもとめ、必要なデザイン要素の導入を目指す。
-トランジットモールを創る-
歩行者とトラムの都市空間-トランジットモール-を創り出す事を提案します。新たな都市活動-文化・産業・観光-の場が四季を通じて生まれることを目指す。
すすき野駅、西4丁目駅間を新たにつなぎ、全体をループ化し,札幌駅前通りにトランジットモールとした。狸小路との交差点付近にトラム停留場を設け、このエリアを中央広場とした。中央広場には既存アーケードに連続するように大屋根が掛けられ日常の活動、移動に加え、さまざまなイベントが季節を問わず行なうことが可能である。トランジットモール全体はランドスケープ化され、札幌駅からの並木によりダイナミックなリズムを加えられ、特徴のあるタウンスケープとなる。様々な利用を想定した歩道空間は、レンガ、石材、木、芝生等の組み合わせにより札幌に相応しいものとなる。四季を通じての利用に答えるために、大,中、小のルーフ、パラソルをモール全体にわたって配置した。屋根形状、ルーフエッジの詳細、地上の活動域と緑地エリアの関係等は、冬季五ヶ月近くに及ぶ積雪期間における融雪、落雪落水対策として総合的に検討判断してデザインした。
低床型LRTが持ちうる諸利点を前提にしつつ “札幌タイプ”としてのイメージを打ち出す、新型LRTのデザインを計画した。
1.インパクト 全体の<かたち、輝き>の表現
自然の光、都市の輝きを受けきっぱりとした表現を持つ形(フォルム)をデザインの基本とし、それをひとつのまとまりのあるオブジェとしての車輌にまとめた。車輌の形状の全体表現に加え、詳細な部分を徹底してデザインし、高質な表現を持つトラムを生み出すことを目指す。
2.街を映し出す鏡 -街へとメッセージをおくるスクリーン-
車体側面の大部分を連続したひとつの面として創りだし、街を映す鏡となり、街へのメッセージをおくるスクリーンとして生かす。
3.色彩の提案
車体の前面、側面上部下部のフレームとなるエリアにはモダンかつスマートさを表現し、銀嶺を象徴するライトシルバー色を施した。そのフレームに囲まれた側面には透明な薄いグリーンガラスの開口部とその周囲のこいグリーンのガラスパネルで構成され、この上に季節イベントに呼応したテンポラリーな表現を加えられるようにした。鮮やかな明るいグリーンのラインを前面・側面のベルトラインに配し、シンボルカラーとした。このシンボルカラーは停留場や架線柱にも使われ、シティートラム全体のシンボルカラーともなる。
トラムの顔にあたる前・後方部分のデザインは、形状表現に加え新たなトランジットモールでの走行移動を考慮し、運転士からの高い視認性をもち、安全性を最大限確保するガラス窓を組み込んだ。将来、ループ化により一方向運行が可能になった際は、片運転席とし後部は広い視界を持つ展望席ともなり得るよう考慮した。
トラムの内部空間は大型のガラス面により、360度外部へと視覚的につながり、街の中をスムーズに走行する感覚を生み出す。内部での移動をスムーズに行なえる通路幅を確保すると共に、運転席、客席共に軽やかに宙に浮いたデザインとし、内部空間のボリュームを豊かなものにした。滑りにくくメンテナンスしやすいゴムタイルなどの床仕上げ、木質系の表現で暖かさを側壁面に与え、天井面は細やかなリブ形状のアルミスパンドレルとし、暖色系の間接照明とした。</div
既存停留場のプラットフォームの幅を、安全性に配慮して、歩道、側道と調整しできる限り拡げた。新しい停留場は合せガラスと細いパイプ、鋳物ジョイントなどで構成された繊細さと、きっぱりとした表現を持つシェルターとした。ベンチ、インフォメーションパネル、広告パネルを組み込み、上部にはシンボルカラーの明るいグリーンのサインベルトを加え、新型車輌との一体感を与えた。電車待ちの人々の為に、できるだけ風雨を避けるように屋根は現状よりも低く設置した。そのために車道側には融雪装置を設置し、落雪によるに事故の無くすように努めた。
架線ポールコンセプト
既存線を含め軌道中央架線ポールとする。架線ポールはT字形状をし、円筒ポールと水平ブラケットでのコンパクトな構成とする。水平ブラケットにはシンボルカラーの明るいグリーンを配し、ポールにはLED照明を組み込みます。札幌市電の他に見られない特徴である、見通しの良い長い直線の軌道は、視覚的に架線ポールが互いに重なることによりシンボルカラーが連続し、シティートラムを都市の中に浮かび上がらせることを意図した。また軌道中央架線ポールに新ためることにより、歩道に設置されている支柱が整理でき、新たな街路樹の並木をシティートラムに沿って計画することができる。
Sapporo LRT (open competition proposal)
– Sapporo city tram link project –
Type
LRT, City planning
Location
Sapporo, Hokkaido, Japan
Competition Organizer
Sapporo city
Status
2011 open competition
Design
Noriaki Okabe Architecture Network
Collaborators
Dentsu Hokkaido
Dentsu
Ishi Planning & Design Co.